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ここクリニック皮フ科アレルギー科

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院長コラム

Column

  • 2024年2月9日

アトピー性皮膚炎のかゆみの原因と「自宅でできる対処法」について、医学的根拠に基づき専門医が解説

こんにちは。ここクリニック院長おかだりかです。
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹を特徴とします。かゆみは痛みよりつらいとも言われており、かゆみのために眠れないといったつらい経験がある方もいるのではないでしょうか。アトピー性皮膚炎のかゆみが生じる原因や自宅でできる対処法を知ることで、かゆみを上手にコントロールしていきましょう!

アトピー性皮膚炎は、どうしてかゆいのかーかゆみの原因とは?ー

アトピー性皮膚炎の症状の特徴として、「かゆみを伴う湿疹」があります。慢性的な皮膚の病気として「乾癬(かんせん)」もありますが、乾癬はかゆみを伴わない場合もあります。しかし、アトピー性皮膚炎はほぼ全例でかゆみを伴います。 かゆみの原因として、近年、 IL-31 という物質の関与が報告されています。また、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では,かゆみを伝える神経線維の分布が表皮や角層まで伸びていて,かゆみが過敏に感じやすくなっていると言われています。 かゆくて皮膚をひっ掻くと、一時的には落ち着くかもしれませんが、掻くことは、次の2つの理由からとても悪い循環を引き起こします。

 

参照
京都大学皮膚科学教室HP

・掻くことで皮膚のバリア機能が低下する

皮膚をひっかくと、表面に傷がつき、時には血が出ることもあります。皮膚のバリア機能が障害され、水分保持ができにくくなり乾燥傾向になります。また、小さな傷ができそこから細菌が感染すると、蜂窩織炎などの皮膚感染症を引きおこすことにもつながります。

・掻く→かゆみの物質が増える→さらにかゆくなる「悪循環」

皮膚をひっ掻くことで、上で説明したかゆみを引き起こす物質(IL-31など)が増えると言われています。「掻くことで、さらにかゆくなるといった悪循環」が生まれるのです。

これらの理由から、皮膚をひっ掻く行為は可能な限り避けなければならないのです。しかし、しっかり治療をしていても、どうしても痒くなる時はあると思います。そのような場合に、自宅でもできる対処法を説明していきます。

治療をしていても痒い時は・・・

アトピー性皮膚炎の患者さんに限らず、かゆみを伴う湿疹で受診される患者はたくさんいます。どのような時にかゆくなるかを聞くと、「お風呂上がり」と「寝る時」が圧倒的に多い印象です。2つの場面の共通する要素は、「体が温まる」ことです。 では、体が温まるとどうしてかゆみを強く感じるのでしょうか。体が温まると(皮膚の温度が上がると)かゆみを伝える神経の活動が高くなることがわかっています。なので、体が温まると、かゆみを強く感じやすくなります。
体が温まるとかゆみが強くなるので、逆にかゆみが我慢できなくなった時の対処法は、「冷やす」ことです。アトピー性皮膚炎の症状が安定していない時は、シャワーの温度をぬるめに設定したり、湯船につからずシャワーだけにするといった工夫をするだけで、お風呂上がりのかゆみが減ることがあります。 また、寝る時は副交感神経が優位になるので、皮膚の温度が上がるためかゆみが生じます。夏の暑い日は冷房などを適宜使用し、体の温度をコントロールしたり、かゆい部分に局所的にアイスノンを当てることで、かゆみが軽減する場合があります。 このような工夫は、自宅でもすぐにできることだと思いますので、ぜひ実践してみてください。

また、化学繊維の下着などチクチクする素材の服を着ると、それが刺激になりかゆみが増えることがあります。そのような場合は、綿の下着に変えるなどの工夫が必要です。また小児や女性に多く見られますが、長い髪の毛が刺激になり、かゆみが強くなることがあります。髪の毛をまとめたり、ピンで止めたりすることで皮膚との接触を少なくすると、かゆみが減少することがあります。

まとめ

アトピー性皮膚炎の患者さんに限ったことではありませんが、皮膚のかゆみはとても辛く感じる症状です。かゆみが生じる原因、かゆみが強くなる要因をしっかり理解し、それを避けることでかゆみと上手く付き合っていきましょう。 体を温めすぎない、かゆいところに局所的にアイスノンなどを当て冷やす、などといった自宅でもできるかゆみの対処方法も紹介しました。かゆくて皮膚をひっ掻く前に、ぜひ実践してみてください!

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