院長コラム
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こんにちは。ここクリニック院長のおかだりかです。
湿布やヘアカラー、金属などでかぶれたことはありませんか。「かぶれ」は、医学的には接触皮膚炎という病気で、塗り薬や飲み薬による治療が必要です。治療すれば、症状は治まりますが、原因がわからないと皮膚炎を繰り返す可能性があります。ここでは、かぶれの原因を特定する「パッチテスト」という検査について、詳しく解説していきます。
「この湿布を使うと皮膚がかゆく、赤くなります」といった症状を持っている方はいませんか。違う湿布であれば、問題なく使用できるのに、特定の湿布を使うと皮膚炎が生じてしまう方がいます。皮膚に何らかの刺激が加わった結果、その刺激を受けた部位に一致して起こる皮膚の炎症を、かぶれと言います。一般的に「かぶれた」という症状です。医学的には、かぶれは、「接触皮膚炎」と言います。
接触皮膚炎は、大きく次の2つの病態に分けられます。
①刺激性・・・誰にでも起こる可能性がある皮膚炎。高濃度の強い酸を触ったら、赤くなる、など
②アレルギー性・・・特定の物質に対して、アレルギーを持つ人だけが起こる皮膚炎。特定の湿布による皮膚炎など
わかりやすいのは、「①刺激性」の接触皮膚炎です。強い作用を持つ毒薬など、触ったら誰でも皮膚に炎症を起こすようなケースです。原因が明らかな場合が多く、その物質を触らないようにするしか方法がないので、特定する必要性は低いでしょう。問題になるのは、「②アレルギー性」の接触皮膚炎です。
湿布、ヘアカラー、金属などかぶれの原因として多いものであっても、全員がかぶれるわけではなく、特定の人がある時期からかぶれるようになります。つまり、それらの物資に対するアレルギーを持っている人だけが発症します。治療は先ほど説明した、「刺激性の接触皮膚炎」と同様に、飲み薬や塗り薬ですが、原因がわかららないこともあります。原因を特定し、それを避けない限り根本的な解決にはならず、慢性的に湿疹を繰り返すこともあります。誰にでも生じる皮膚炎ではないからこそ、原因を特定する検査が重要になってきます。
かぶれの原因を探る検査として、「パッチテスト」があります。保険適応の検査であり、皮膚科ではよく行われる検査の一つです。かぶれの原因と思われる成分を、皮膚に貼り、数日後にその部分が赤くなっているかどうかを判定する検査になります。
初日:パッチテストのシール(アレルギーの原因と推測される成分がしみこんだシール)を背中や腕に貼る
↕︎この間は、入浴や汗をかく運動はダメ
(※入浴や汗で、貼った成分が流れてしまうため→このため、夏期の間は、検査が施行できない)
2日後:パッチテストのシールを剥がして、赤くなっているかを判定する
(1回目の判定)
3日後:2回目の判定
外来で行う検査ですが、その場ですぐに結果がわかる検査ではなく、入浴や運動の制限があり(成分が水や汗で流れてしまい、正確な判定ができなくなるため)、3回も来院しないといけない検査のため、患者さん側の協力も必要な検査になります。
現在、多くの施設では、佐藤製薬が出しているパッチテストパネルを使用して行っています。これは、日本人でかぶれの原因として多いとされる成分が含まれており、原因がはっきりわからない場合などに有用です。パネルで一度に調べる成分は22種類に及びます。かぶれの原因成分が、ある程度絞れる場合は、パッチテストのキットを使わずに、疑わしい成分だけを検査する場合もあります。
パッチテストは、かぶれの原因になる成分を長時間(48時間)肌につけ、皮膚炎をわざと起こす検査とも言えます。強くアレルギー反応が生じてしまうと、貼った部分が水ぶくれやびらんになってしまうこともあります。また、かゆみが強くて、検査に耐えらえない場合もあります。検査に必要性やリスクを十分理解いた上で、受けるようにしましょう。
パッチテストは、健康保険が適応される検査です。パッチテストのパネルを使用して行う場合の検査料金は、約5800円(3割負担)かかります。
パッチテストパネルで調べられるアレルゲンはこちら
佐藤製薬パッチテストパネル アレルゲン一覧
ここでは、かぶれの原因を特定するパッチテストについて説明しました。一言で「かぶれ」と言っても、刺激によるものとアレルギーによるものがあることを理解して頂けたでしょうか。かぶれは、まず症状の治療を行い、次に、原因を避けることが根本的な治療になります。パッチテストは、あえて皮膚炎を起こす検査なので、リスクもあります。パッチテスを希望される方は、良いところ、悪いところを良く理解してから、検査を受けるようにしましょう。
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