院長コラム
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こんにちは。ここクリニック院長のおかだりかです。
指にできたイボで悩まれている方はいませんか。指にできるイボで最も多い病気は、「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」です。これは、ヒトパピローマウイルスというウイルスが感染することによって生じるイボです。ウイルスが原因なので、治療をせず放置していると、どんどん大きくなり、他の部位にうつってしまうこともあります。指にイボができた場合の治療方法と、完治するまで治療をしなければならない理由について、わかりやすく説明していきます。
指にできるイボとして、最も多くみられるのは、「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」というウイルスによって生じるイボです。原因のウイルスは、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」と呼ばれます。これは、皮膚にできるイボ以外にも様々な病気の原因になるウイルスです。代表的なものでは、子宮頸がんがあります。性行為により、子宮頸部の粘膜にこのウイルスが感染することで、生じます。子宮頸がんの原因になるウイルスとイボの原因になるウイルスは、同じヒトパピローマウイルスですが、タイプが異なります。また、同じ皮膚のイボでも、感染したウイルスのタイプが異なることがあり、治りやすさやイボの形状が多様な要因になっています。
ウイルスは小さい傷がある皮膚から感染し、感染した皮膚の細胞が増殖し盛り上がるため、「イボ」になります。手足は小さい傷ができやすい部位であり、感染が多発するのです。感染してから発症するまでは、1-6ヶ月と言われています。感染しても痛みやかゆみなどの自覚症状がないため、ある程度の大きさになるまで気が付きにくいこともあります。 よって皮膚科医は、手指に1つでもイボを見つけたら、その他にイボがないかしっかり探す必要があります。治療しているうちに、新たなイボをみつけることもありますし、患者さんから新しいイボができた、と教えてもらうこともあります。
イボを治すためには、感染して盛り上がった皮膚の細胞を全て取り除く必要があります。イボの治療にために、一般的な皮膚科のクリニックでよく行われる治療が、「凍結療法」です。-196℃の液体窒素を用いて低温にて感染細胞を凍結させ、壊死、脱落させる治療法です。液体窒素を綿球や綿棒に染み込ませて、イボに当てる綿球法と、ボンベ付きでスプレーできる機器で、圧を利用して直接液体窒素を吹きかけるスプレー法があります。
いずれも-196℃の液体窒素を直接皮膚に当てるので、ある程度の痛みは伴います。しかし、その痛みは非常に短時間であることから、通常局所麻酔は用いません(麻酔の注射のほうが痛いです)。 痛みがどの程度出現するかは、イボの状況やできている皮膚の部位により異なります。イボが厚く盛り上がっているときは、痛みを感じる皮膚までの距離があるため、痛みが出現しにくいです。また、足底は皮膚がもともと厚いため、痛みを感じにくいです。一方、手指は敏感な部位であり、比較的痛みを感じやすい部位でしょう。
通常、イボやその周りの皮膚が白く変化するまで凍結させますが、どの程度まで治療を行うかは、イボの状態や部位によっても異なります。凍結治療を強く行うと、早く治りますが、イボの周りの皮膚が赤くなったり、水ぶくれになります。そうなると、痛みを伴うため、指先や足の裏の場合には生活に支障をきたすことになるので、ほどよい加減に治療を行うことが大切です。 凍結療法は、1回で治ることは少なく時間がかかります。また、1-2週間程度の間隔を空けて、こまめに通院する必要があります。イボの大きさや部位にもよりますが、数ヶ月から半年程度、重症な方だと数年に及んで治療が必要な場合もあります。長くかかる治療のため、途中で嫌になり通院を中断される方もいますが、残念ながらイボが大きくなったり、他の部位に増えたりしますので、必ず受診が必要になります。
多発していたり、難治な場合は、ヨクイニンの内服を併用することもあります。また、クリニックによっては、レーザー(CO2レーザー)で治療を行うことができます。健康保険適応外ですが、何回も通院する必要がなく、痛みも軽度であることから、お金はかかりますが、難治なイボを早く治したい方にはおすすめです。
イボは治りにくく、再発しやすい厄介な病気ですが、根気強くしっかり治療することが大切です。
指にできたイボは、「尋常性疣贅」というウイルスが感染して出現した病気であることが多く、治療しないで放置すると、どんどん大きくなります。病院で治療しなければ治らない病気です。液体窒素という低温な液体を当てることで、感染した細胞を取り除く「凍結療法」が一般的に行われる治療です。感染した細胞がなくなるまで、しっかり治療を続ける必要があり、治療期間が長期にわたることもあります。イボは、治りにくく再発しやすい厄介な病気ですが、皮膚科医と一緒にしっかり治療していきましょう。