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ここクリニック皮フ科アレルギー科

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院長コラム

Column

  • 2020年5月17日

難治性・重症なじんましんに対する新しい注射製剤「ゾレア」を専門医が解説

こんにちは。ここクリニック院長おかだりかです。
飲み薬の治療をしてもじんましんが治らず、かゆみなどで困っている患者さんがいます。2017年3月に新しい注射の薬として、「ゾレア」が認可されました。もともと重症な気管支喘息に使われていた薬ですが、じんましんにも効果があることがわかり、使用できるようになりました。原因が特定されない特発性慢性じんましんの方で、いろいろな薬を試しても症状が治まらなかった重症な方が適応になります。ここでは、じんましんに対する新しい治療方法である、新薬「ゾレア」について解説します。

慢性じんましんとは

かゆみを伴う赤い発疹が出現し、数時間で消える症状が典型的なじんましんです。24時間以内に消える発疹であれば、じんましんと診断できます。この症状が6週間以上続く場合「慢性じんましん」、6週間以内に改善する場合「急性じんましん」と分類されます。慢性じんましんは、夕方から夜にかけて症状が出やすく、かゆみが強い場合は眠れないなどの生活にも支障をきたす場合があります。食物や薬剤などのアレルギーが原因で出現したり、甲状腺疾患などが原因で生じることもありますが、多くは原因が特定できない「特発性」のじんましんです。感染症やストレスなどで増悪しやすく、完治まで数年を要する場合もあります。

慢性じんましんの治療

慢性・急性を問わず、治療の第一選択は「抗ヒスタミン薬」になります。抗ヒスタミン薬のみで症状が改善する場合が多く、急性じんましんの場合は、数日〜数週間程度で薬をやめられることが多いです。この治療で、多くの方の症状は治まりますが、症状が治まらない場合は、他の薬(H2受容体拮抗薬、抗ロイコトリエン拮抗薬、トラネキサム酸、漢方薬)を追加したり、抗ヒスタミン薬を倍量まで増やします。抗ヒスタミン薬の倍量に加え、他の薬を数種類内服しても、症状が治まらない難治な場合があります。
これまでは、抗ヒスタミン薬と補助的な薬を多剤併用しても症状が治まらない場合は、ステロイドや免疫抑制剤の追加が必要でした。ステロイドや免疫抑制剤は、効果は強いですが、一方副作用もあります。また、長期に使用することは難しいこともあり、症状のコントロールができないケースもありました。じんましんは、かゆみを伴うことが多く、仕事に集中できなかったり、夜眠れなかったりと生活の支障をきたすことも多いです。飲み薬を使っても症状が抑えられない慢性じんましんに対する治療は、これまであまり選択肢がありませんでした。そこで、2017年3月に新薬「ゾレア」が登場しました。

新しい注射薬「ゾレア」

<ゾレア>

ゾレアの作用機序と効果

ゾレアは、もともと重症な気管支喘息の患者さんに使われていた注射の薬です。インフルエンザワクチンなどを打つように、腕などに皮下注射をします。新しい注射薬として登場した「ゾレア」は、これまでの飲み薬とどのような点が異なるのでしょうか。
これまで最も効果が高いとされていた「抗ヒスタミン薬」は、その名前の通り、「ヒスタミン」という成分をブロックする薬です。ゾレアは、ヒスタミンを作り出す元になるIgE(アイジーイー)をブロックする薬です。つまり、ヒスタミンよりもさらに「じんましんの根本の原因」を抑える作用があると言えます。ゾレアの効果は、プラセボ(偽薬)と比較した臨床試験によって確かめられています。抗ヒスタミン薬で効果が得られなかった12歳以上の慢性蕁麻疹の患者さんを、ゾレア群とプラセボ群に分けて比較したところ、ゾレア群のほうが有意にかゆみや皮疹を抑えたという結果が出ています。

ゾレアの副作用

ゾレアは効果の高い薬ですが、副作用はどのようなものがあるのでしょうか。ゾレアは、もともと気管支喘息で使用されていましたが、その際、副作用としてアナフィラキシー(注射したあとに、皮疹がでたり、呼吸が苦しくなったりする)の報告がありました。しかし、慢性じんましんの患者さんでは、臨床試験の段階では、アナフィラキシーのような重篤な副作用はほぼみられませんでした。最も多くみられた副作用は頭痛や、鼻閉感でした。また、注射を打った部位が赤くなる「注射部位反応」もみられました。

ゾレアの副作用は、過剰に心配する必要はない程度のものと考えられています。しかし、気管支喘息でみられたようなアナフィラキシーが生じる可能性はゼロとは言えません。よって、初回治療時は、投与後1時間程度は院内で経過をみる必要があります。

ゾレア治療の実際

ゾレア治療の実際の様子を説明していきます。慢性の特発性じんましんの方で、これまでの治療で難治な方が適応になり、主治医との相談で適応と判断された場合に投与されます。これまで飲んでいた治療薬は、原則そのまま継続しながら、ゾレアを追加します。ゾレアは、月1回皮下注射で投与します。上記で説明したように、1回目の注射の際、注射したあと1時間は院内で経過観察をする必要があります。
臨床試験では、12週(3か月)までの投与で治療効果を判断します。よって、まずは12週(3ヶ月、つまり3回の注射)は継続し、蕁麻疹の状態を評価し、改善した場合は中止し、経過をみることになることが多いです。一方、3か月の投与で改善が乏しかったり、中止により増悪する場合は、続けることもあります。

ゾレアは、健康保険が適応になる治療法ですが、薬剤代がとても高価です。1回あたりの薬剤費は、約17500円(3割負担)になります(※2020年4月に薬価が改訂され、金額が安くなりました)。決して安い金額ではありませんので、使用する判断は適切に行う必要があります。

まとめ

ここでは、重症な慢性じんましんに対する新しい治療注射薬で「ゾレア」について解説しました。何種類も薬を飲んでも、満足する効果が得られなかった患者さんにとっては、改善が期待できる薬です。しかし、すべての患者さんに効果が得られるわけではなく、副作用もあります。薬剤費が高価であり、経済的な負担も生じます。ゾレアを含めた治療については、かかりつけ医と一緒に考えていきましょう。

参照 蕁麻疹診療ガイドライン2018 日本皮膚科学会

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