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ここクリニック皮フ科アレルギー科

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院長コラム

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  • 2020年6月30日

まぶたや口唇が腫れる血管浮腫(クインケ浮腫)という蕁麻疹(じんましん)についてー遺伝性血管浮腫も含めて解説ー

こんにちは。ここクリニック院長のおかだりかです。
まぶたや口唇が突然腫れる症状は、蕁麻疹の1種で血管浮腫(クインケ浮腫)と言われています。蕁麻疹と違い、かゆみを感じることは少ないですが、治療は蕁麻疹と同じような飲み薬が必要です。ここでは、血管浮腫(クインケ浮腫)の原因、治療方法について詳しく説明していきます。また、血管浮腫の特殊な病態である「遺伝性血管性浮腫」についても説明します。

血管浮腫(クインケ浮腫)の症状と診断について

血管浮腫の症状

血管浮腫(または血管性浮腫、クインケ浮腫と呼ばれています)の特徴的な症状は、まぶたや口唇の「腫れ」です。夕方から夜間にかけて生じることが多く、朝起きたら目が腫れていた、などの症状がよくみられます。血管浮腫は、蕁麻疹の1種と言われています。蕁麻疹との違いは、蕁麻疹は皮膚の浅い部分で生じる反応である一方、血管浮腫は皮膚の深い部位で起こる反応を言います。血管浮腫は、蕁麻疹のようなボコッとした皮疹などの皮膚の変化やかゆみも伴わないことが多く、単なる「腫れ(浮腫)」の症状だけが現れることが多いです。まぶたや口唇のように、粘膜に近い部位に症状が生じた場合、皮膚だけではなく粘膜の浮腫が生じることもあります。目が充血したり、口腔内が腫れることもあります。蕁麻疹は数時間で消えてしまうことが多いですが、、皮膚の深い部位で生じる血管浮腫は、改善までに数日かかることがあります

血管浮腫の原因は

血管浮腫の原因は、特定できないことが多く、それらを特発性の血管浮腫と言います。特発性の血管浮腫の場合は、誘因がなく突然症状がでますが、疲れやストレスなどが発症要因となりやすいです。特定の薬剤や食物を摂取した後に症状が出る場合は、それらが原因となっている可能性が高いです。薬剤については、特に降圧剤であるACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)や、ARB(アンジオテンシンII 受容体拮抗薬)が原因となることが多いと言われています。新しい薬を飲み始めてから、まぶたや口唇が腫れるようになった場合は、薬剤性の血管浮腫を考える必要があります。

血管浮腫に特徴的な原因として、C1-INH(C1-inhibitor:補体第1成分阻害因子)の機能不全があります。C1-INHと言う血液中の1つの成分の機能が低下し、ブラジキニンという物質が過剰に産生されることにより、血管浮腫が生じます。これには、先天性のものと後天性のものがあります。先天性の疾患を遺伝性血管浮腫といい、皮膚症状だけではなく、腹部症状を伴うことがあります。採血を行うことで、診断は可能なので、まぶたや口唇の腫れを繰り返すような場合は、採血検査が必要です。

血管浮腫の治療について

血管浮腫の治療は、基本的には蕁麻疹と同様に、抗ヒスタミン剤の飲み薬が中心になります。慢性的に(数週間程度)繰り返してしまう場合は、抗ヒスタミン剤を症状が出ていない時を含めて長期的に内服する必要があります。
抗ヒスタミン剤だけでは症状が治らない場合は、補助的な薬としてトラネキサム酸が有効とされています。その他に、抗ロイコトリエン拮抗薬、H2-blocker、症状が強い場合は一時的にステロイドの飲み薬を併用する場合もあります。

先ほど説明したC1-INHが関与している場合、抗ヒスタミン薬が無効な場合が多いです。血管浮腫の原因として、血液検査でC1-INHの機能不全が関与していることがわかった場合、症状が出現した時には、C1-INH製剤(ベリナートP)の投与を行うことで症状が改善します。発作が頻回に起こる場合は、トラネキサム酸を予防的に服用する場合もあります。また、原因物質であるブラジキニンの受容体を阻害する薬(注射製剤)を自己注射することで、症状を抑える治療もあります。

まとめ

ここでは、まぶたや口唇が突然腫れる「血管浮腫」の症状、原因、治療方法について説明しました。原因が特定できない場合も多くありますが、遺伝性血管性浮腫という特殊な病気もあります。皮膚だけではなく、粘膜に浮腫が及んだ場合、腹痛や呼吸困難感が出現する場合がありますので、症状が繰り返し生じる場合などは、自己判断で治療をせず専門医に相談しましょう。

参考
遺伝性血管性浮腫(HAE)のガイドライン 改訂2014年版
遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト

 

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