院長コラム
Column
Column
水虫は、皮膚糸状菌である「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌の一種)によって生じる皮膚の感染症です。足にできることが多いですが、爪を含めた皮膚のどこにでも出現する可能性があります。白癬菌が感染する部位によって、足にできると「足白癬」、手にできると「手白癬」、爪にできると「爪白癬」、頭部にできると「頭部白癬」と呼ばれています。
足の水虫は、特に夏になると症状がでやすく、日本人の5人に1人は水虫にかかっているとも言われています。男性に多いイメージもありますが、女性や小さいお子さんなど誰にでも感染する可能性はあります。特に、家族に水虫の人がいる場合は、共有の足マットやスリッパで感染が拡大することもあります。
水虫の原因となる白癬菌は、普段は皮膚の一番表面の「角層」に潜んでいます。皮膚の成分である「ケラチン」を栄養源にして増えていきます。皮膚表面の角層の細胞は、死んだ細胞の集まりなので(垢をイメージしてください)、角層に感染しているだけでは症状はでません。角層の下の皮膚に進んでいくと、水虫を排出しようと、様々な反応が起こり、赤みやかゆみ、水ぶくれが生じます。
水虫は、足の指の間や足の裏に症状が最もでやすいです。足に水虫が感染すると、足の指の間や足の裏に痒みや皮が剥ける症状がでてきます。夏になると水虫の症状が現れ、冬になると改善する場合もあります。
足の水虫は、症状の出方によって以下の3つのタイプに分けられます。
・水虫の中で最も多いタイプ
・足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたりする
・足の4.5指の間が症状が最もでやすい
・足の裏や土踏まずなどに水ぶくれができる
・梅雨の時期に起こりやすい
・掌蹠膿疱症との鑑別が必要
・アカギレのように足の裏の皮膚が厚く、乾燥する
・かゆみは軽度、固くなった皮膚がひび割れると痛みが生じることもある
水虫は皮膚の成分である「ケラチン」がある部位であれば、足以外にも感染します。ケラチンは、足以外にも爪や手や毛にも多いため、これらの部位で感染しやすくなります。水虫が爪に感染すると、爪が白~黄色に濁り、厚くなったり、ボロボロになることがあります。爪白癬と言われ、塗り薬では改善しない場合もあり、飲み薬が必要になることも多いです。
水虫の治療は、抗真菌薬の塗り薬が中心であり、ある程度の期間(数か月)塗り続けることが大切です。よって、水虫の治療を始める前には、しっかり確定診断をする必要があります。足の皮膚や爪の一部を採取し、顕微鏡で検査をして、白癬菌を確認し診断します。皮膚科のクリニックには、顕微鏡が置いてあるのは、水虫をチェックするためでもあるのです。治りが悪かったり、範囲が広い皮膚の水虫や、爪水虫には飲み薬が必要な場合もあります。ここでは、塗り薬、新薬を含めた飲み薬について説明していきます。
足や他の部位の皮膚の水虫の場合、まず抗真菌薬の塗り薬による治療を開始します。塗り薬を一定期間きちんと付ければ、ほとんどは改善します。足の裏は皮膚が厚いので、自覚症状がない部分も含め、両側の指の間から足の裏全体にしっかり塗ります。しっかり継続できれば、1-2か月で症状は改善することが多いです。さらに、症状がよくなってからも1-2か月は継続することで完治すると言われています。よって、完治するまでは、2-4か月程度は塗り続ける必要があり、根気が必要です。途中でやめてしまう方も多く、水虫が再発しやすい一因と言えるでしょう。
爪水虫の場合、塗り薬が爪内部に浸透しにくく、皮膚の水虫に比べて治りにくいと言われています。最近は、効果のつよい液体タイプの塗り薬(クレナフィン、ルコナック)が出てきました。症状が軽い方は、液体タイプの塗り薬で完治することもありますが、年単位で塗っても改善しない場合もあります。治りにくい場合は、塗り方を見直したり、飲み薬に切り替える必要があります。
爪の水虫の場合、飲み薬を飲まないと治らないことが多くあります。足水虫でも、角層が厚くなっている「角質増殖型」と呼ばれる病型や、白癬菌が髪の毛に感染している場合も、塗り薬では効果が乏しく飲み薬が必要になる場合もあります。現状使用できる飲み薬は、「ラミシール、イトリゾール、ネイリン」の3種類あります。2018年7月までは、ラミシール、イトリゾールの2種類しかなかったのですが、久々に新しい水虫の飲み薬であるネイリンが発売されました。ネイリンは、これまでの薬より効果が高く、副作用が少ないという利点があります。どの薬を使用するかについては、症状、副作用や他の薬剤との飲み合わせなどを考慮して、主治医と決めましょう。
水虫は適切な診断のもと、しっかり治療を行えば完治する病気です。ただ、完治するまでは塗り薬を数か月続ける必要があったり、飲み薬が必要な場合もあります。繰り返す水虫で悩んでいる方は、薬の種類や塗り方を見直してみるとよいかもしれません。家族などにうつしてしまう可能性もあるため、水虫の症状に気が付いた場合は早めに皮膚科を受診して、きちんと治療を行い、完治を目指しましょう。
当院ではLINEを活用したオンライン診療も実施しております。
症状に不安のある方はこちらからオンライン診療の予約が可能です。
※診断の結果、来院をお願いする場合がございます。予めご了承ください。